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野菜で健康推進を②野菜の抗酸化力をスコア化

野菜の「健康診断」やってます!

――今後、野菜の量と質の両面から消費を促すために、買いたくなる/食べたくなるような表示ができるようになるといいですね。そのための評価法として検討されている方法はどのようなものでしょうか。

丹羽:我々はこれまで10年以上にわたり、62種類の野菜と20種類の果物を分析してきました。その総数は3万件におよび、データベース化しています。そのデータベースの平均値と比較することで「野菜の健康診断」をする体制を整えています。具体例をお見せしましょう。

丹羽:中央のレーダーチャート(クモの巣グラフ)では、糖度、活性酸素消去能、ビタミンC、硝酸イオンの4項目が示されています。赤い線が今回の健康診断を受けたA産地のほうれん草の分析値で、緑の線がデータベースの平均値です。これを見ると、A産地のほうれん草は平均的なものよりも糖度が高くて(おいしくて)ビタミンCも豊富、活性酸素消去能(抗酸化力)も高い、質のよい野菜であると判定できますね。

――硝酸イオンというのはどういう意味でしょうか?

丹羽:これは「野菜の代謝」を示しています。野菜は根から窒素を吸い上げて、光合成によってアミノ酸に作り変えています。その過程でできるのが硝酸イオンで、これが多く検出されるということは、代謝が活発でなくてアミノ酸まで作り変えられなかったということです。ですから、硝酸イオンの数値が一定数値より低いと代謝が良く元気な野菜であると言えます。

――左側のカラフルな円グラフは何を示しているのでしょうか?

丹羽:それは「野菜の抗酸化力」を示すグラフです。中央の数字は抗酸化力の強さを示すもので、ほうれん草の平均が100であるところに、316という数字を出しているA産地のほうれん草はそれだけ抗酸化力が強いということになります。また、円グラフの緑はスーパーオキシド、赤は一重項酸素、黄はヒドロキシラジカルを消去する力の割合を示しています。

――右側には「おいしさ判定」とありますね。消費者にとって気になる項目です。

丹羽:おいしさ判定は、野菜を分析する時に担当者が一定の評価基準で評価した数値です。なお、これらの評価は、収穫月のデータで比較するようにしています。同じ野菜でも、旬の時期とそうでない時期では野菜のチカラが異なりますから。ほうれん草は冬が旬ですから、同じ産地・品種のものでも夏は窒素が代謝する前に収穫される傾向にあり、硝酸イオンが残ってしまいがちです。

――旬の野菜は美味しいという事実が、科学的なデータで証明されているのですね。

丹羽:はい。やはり野菜の旬を知ったうえで選んでいただくといいですね。夏は果菜類(茄子、キュウリ、トマトなど)が旬です。色がハッキリしていて、持ったときに重みを感じるもの(比重が高いもの)を選んでいただきたいです。冬は根菜類(大根、人参など)が旬で、やはり重みがあるものがいいです。ちなみに野菜の食べ方は、一回の食事ごとに火が通った野菜と生の野菜をいただくことをおすすめします。そうすると、かさを減らし量を食べることができます、また野菜に付いている有用菌を摂り入れることができます。

活性酸素と野菜のフィトケミカル

――野菜の健康診断の項目である「抗酸化力」について、もう少し詳しく教えてください。

丹羽:私たちは1日に約500Lの酸素を呼吸で取り込んでおり、その酸素の約2%が活性酸素になると言われています。活性酸素は細菌やウイルスをやっつける武器になったり、細胞間の情報伝達などに使われたりするため白血球から作られ、必要なものでもあります。しかし、さまざまな理由(紫外線、たばこ、ストレス、大量の飲酒、大気汚染、不規則な生活、肥満など)により活性酸素が過剰につくられてしまったり、強い活性酸素に変わったりし、身体を酸化させ、老化やがん、生活習慣病につながると考えられています。

――その活性酸素を消すのが、抗酸化力ですね。

丹羽:野菜に含まれるフィトケミカルが抗酸化力を発揮します。我々は水溶性のフィトケミカルをDPPH法・ESR法、脂溶性のものをSOAC法で測定し、抗酸化力を分かりやすく数値化しています。そうすると、同じ大根でも、紫色が濃いほど抗酸化力が高いことを数値で示すことができます。紫色はアントシアニンというフィトケミカルによるものです。

――野菜の色は、含まれるフィトケミカルを反映しているのですね。

丹羽:ですから、野菜を買うときはカゴの中に7色の野菜を選んで入れてほしいですね。我々はあるスーパーマーケットの協力を得て、フィトケミカルの色に分けて野菜を陳列してみたことがあります。この取り組みも好評で、お客様の健康を考えていることが伝わります。7色の野菜を1日350g食べていただくこと、野菜から食べていただくこと(ベジファースト)が、我々の活動目標の一つです。

【聞き手・まとめ:田中留奈(伝わるメディカル)、企画・製作:株式会社リッチメディア】