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JAHIは、超高齢社会における健康寿命延伸とヘルスケア産業育成の実現を目指す、ヘルスケアに関する有識者、産業、関係者が集まった民間唯一の団体です。

野菜で健康推進を①野菜摂取は「量」から「質」へ

日本ヘルスケア協会は、ヘルスケア産業育成などを通じて健康寿命の延伸と国民の幸福に寄与することを目指す団体で、業界やテーマ別に部会が設置されています。今回は「野菜で健康推進部会」の部会長を務める丹羽真清先生(デザイナーフーズ株式会社 代表取締役)に、当部会の活動について詳しくお話を伺いました(全3回)。


<略歴>
丹羽真清(にわ・ますみ)
椙山女学園大学家政学部食物学科管理栄養士専攻を卒業後、1999年にデザイナーフーズ株式会社を設立。2010~2013年にかけて野菜のショールーム「ベジマルシェ」を開店・運営。2013年にデリカフーズホールディングス株式会社代表取締役社長、2017年に同社取締役未来創造最高役員に就任。2016年に日本ヘルスケア協会「野菜で健康推進部会」を設立し、部会長に就任。日本アマニ協会の理事や椙山女学園大学の非常勤講師も務める。

野菜摂取でセルフメディケーション

――「野菜で健康推進部会」は、分かりやすいネーミングですね。毎日十分な量の野菜を食べて健康に過ごしましょうと啓発する活動をされているのでしょうか。

丹羽:それもありますが、野菜の「量」だけでなく「質」を考慮した摂取法を広めることで、国民の健康を推進したいと考えています。国は健康寿命をのばすために「スマート・ライフ・プロジェクト」を立ち上げ、その一つの柱(Smart Eat)として「1日にあと+70gの野菜を食べること」を推奨しています。生活習慣病の予防のためには1日350gの野菜を食べることが目標となるのですが、実際の摂取量(平均値)は約280gなので、あと70g食べる必要があります。このように野菜の摂取量を増やすのも大事なことですが、本当は野菜の「質」にも目を向けてほしいのです。ですから、我々(野菜で健康推進部会)は活動目標を「野菜摂取の量的拡大と質的向上を図り、国民の一層の健康を推進する」と定めました。

――野菜の「質」とは?

丹羽:現在、流通・小売りの場で評価されているのは、野菜の見た目(形、色、光沢、傷の有無、汚れなど)や安全性(食品安全GAP、トレーサビリティなど)がメインです。それに加えて「中身の評価」も追加していきたいと思っています。具体的には、美味しさ(官能・成分)や野菜の総合力(抗酸化力)といった点で野菜の質を評価し、消費者に分かりやすく伝えることで、より質の高い野菜を選べるようになってほしいのです。

野菜の「質」を知るための方法

――消費者は野菜の「質」をどのように確認すればいいでしょうか。

丹羽:もしスーパーマーケットの野菜売り場に分かりやすい説明やPOPが設置してあれば、それを参考にして質のよい野菜を選べるようになると思いませんか? 実際に我々は名古屋のあるスーパーマーケットで野菜の質を表示するプロジェクトを実施しました。

――このような表示があると、野菜を買いたくなりますね。

丹羽:このときは本当に野菜の売上が伸びました。お店によっては「ビタミンCを含む野菜は…」「食物繊維を含む野菜は…」といった形で、野菜に含まれる一般的な栄養を紹介するようなPOPを目にすることがあるかもしれません。でも、どの栄養素が何に良いのかまで伝えることができないのです。また、同じトマトでも産地や品種が違えば、含まれる栄養素や成分の量は変わります。そこまで消費者にお伝えするには、野菜の特徴をスコア化して表示するような工夫が必要だと考えています。

――品種ごとにこんな表示があれば、とても参考になりますね。

丹羽:そうでしょう。でも現在の食品表示制度では、このような表示を全国各地で継続的に実施するのは難しいのです。そこで我々は、農産物の機能性表示の届出内容の緩和を国に提言しているところです。なかなか一筋縄ではいかないところですが…。

――そうですか…。では、現状で消費者ができる野菜の質の見極め方を教えてください。

丹羽:一つの方法は「7つの色の野菜を食べる」よう心がけることです。野菜が持つ主な力は「抗酸化力」で、これは野菜に含まれる「フィトケミカル」という成分により発揮されます。フィトケミカルにはいくつかの種類があり、それぞれ色で分けることができます。

丹羽:抗酸化力とは、体内に発生した過剰な活性酸素やフリーラジカルを打ち消す力のことです。これらのフィトケミカルをバランスよく摂取することで、抗酸化力を総合的に得ることができます。野菜を買うときは7つの色の野菜を選ぶようにするといいでしょう。
我々は、野菜が活性酸素を消す力を測定しています(人の体の中で測定したものではなく、
人体に発生すると知られている3種の活性酸素種を野菜がどのくらい消去するかを実験分析研究しています)。

――なるほど。他にも野菜の質を知る方法はありますか?

丹羽:野菜を冷蔵庫でしばらく置いておくと、茶色く枯れていくものと、とろけてしまうようなものがあります。野菜の質としては前者の方が良いと判定できます。なぜなら、茶色くなり枯れるということは繊維や組織がしっかりつくられる育て方をしているということです。私は新しい産地の野菜を買ったとき、一部を冷蔵庫でしばらく保存しておいて、どう変化するか観察しています。よく観察しながら食べることを試してみてください。

【聞き手・まとめ:田中留奈(伝わるメディカル)、企画・製作:株式会社リッチメディア】