toggle
JAHIは、超高齢社会における健康寿命延伸とヘルスケア産業育成の実現を目指す、ヘルスケアに関する有識者、産業、関係者が集まった民間唯一の団体です。

100年人生を支える健康づくり③ 頭の若さを保つ「本気の趣味」

「リタイア後を考えて趣味を持とう」とはよく言われますが、暇つぶし程度ではなく、熱中できる趣味を持つのが健康に良いようです。誰とでも仲良くなれる考え方も紹介します。日本ヘルスケア協会の今西信幸会長が、自身の健康観を語る連載です(全4回中の3回目)。

OFFがあるからこそONが活きる

――前回は、「心」に効くボランティアと化粧のお話を伺いました。今回は主に「頭」の健康についてお聞かせください。

今西:頭の健康を保つには、興味を持ち続けることです。リタイア後は苦労したくない…というのは良くなくて、ある程度ストレスがある環境に身を置かないといけません。なにもない世界だとあっという間に認知機能が衰えてきてしまいます。まるで、キレイ過ぎる環境だと病気に弱くなる、というような話と似ていますね。国の方でも、社会人や高齢者に向けた「第二の大学」のような学び直しの場を用意しようと動いているようです。

――今西会長は、現在は多忙で頭もフル回転なのでしょうが、リタイア後はどう過ごされる予定ですか?

今西:もともと植物が好きなので、農業をやろうと思っています。実は2年間の休日を全部つぎ込んで、農業に関する資格を取りました。今は農地を6反借りて、お米を栽培しています。儲からなくてもいいですけど、収穫したお米を道の駅などの市場で売って、ガソリン代くらいは捻出できるようになりたい。自分が作ったものが買われる喜びもありますし、お金を通じて社会的な評価を受けることにもなります。元がとれなかったら今度こそ頑張ろうと思いますよね。もっと高い評価を受けるお米を作るにはどう工夫すればいいのか、頭を使います。いずれ農業という産業を支える一員として、真剣に勝負したいと思っています。

――農業ですか。体はもちろん、頭も心も使う素敵な趣味ですね。

今西:よく「趣味を持て」と言いますけれど、その趣味は本業に近いくらいのパワーを注ぎ込めるものにするといいですね。本業のことは頭からサッパリ消えるくらい、趣味に熱中すれば、ストレスが解消してリフレッシュします。このように休日は完全にOFFに徹すると、週明けにONになったときに本業を頑張る気力が湧きます。逆にずっとONのままだと考えも堂々巡りになってしまって、うまくいかない。仕事で忙しい人ほど、熱中できる趣味を持ったほうがいいですね。

誰もが「トータル100の円グラフ」になっている

――趣味でまったく異なる世界に足を踏み入れることで、色々な価値観を持つ方々との出会いがありそうですね。

今西:私に農業を教えてくれている方は「不公平がないから、できる限りのことを教えたい」とおっしゃってくださるのです。つまり、学歴や社会的な地位に胡座をかいて上から話すことがなく、自分のことをきちんと「先生」として遇してくれるから、それに報いて力になりたいと思ってくださっている。私が誰に対しても公平でいられるのは、人間というものは「トータル100の円グラフ」になるという感覚があるからだと思います。

――トータル100の円グラフ…ですか?

今西:人間はみな一律にポイントを100持っているとしましょう。人それぞれ、自由に割り振りが決められるポイントです。勉強に90、部活に10で割り振っている人もいれば、仕事50趣味50にしている人もいる。トータル100を人それぞれが割り振って、円グラフを作っているようなイメージです。それが、その人の得手・不得手を形づくっていくのではないでしょうか。

――なるほど。ポテンシャルとしてはみな平等で、単に割り振りの違いだと。

今西:社会で成功していると言われている人だって、必ず不得意なことや問題を抱えているものです。全方位で成功している人なんて存在しないです。人それぞれ得られるものは決まっていて、そのバランスがどうなっているか、ただそれだけのこと。こういう感覚を持っていると、人をバカにすることがなくなりますし、誰とでも接しやすくなります。

――確かにそうかもしれません。

今西:特に現代においては大家族ではなくて核家族で生まれ育った人が多いですから、さまざまな価値観を持つ人との関わりで得られるものが少なくなってきているかもしれません。例えば勉強さえしておけばいいとか、お金さえあればいい、という単一の価値観だと、だんだん苦しくなってきて、自分で自分を壊してしまうことになるかもしれません。その人にとって最適な円グラフとなるよう人生を歩み、他の人が作った円グラフにも敬意を払う。そんな考え方がもっと広まると、誰にとっても生きやすい社会になるのではないでしょうか。

――ありがとうございました。次回は日本ヘルスケア協会の取り組みについてお伺いします。

100年人生を支える健康づくり① 散歩で「体・心・頭」を活性化する
100年人生を支える健康づくり② 情けは人の為ならず
100年人生を支える健康づくり④ 日本ヘルスケア協会の取り組み

【聞き手・まとめ:田中留奈(伝わるメディカル)、企画・製作:株式会社リッチメディア】