toggle
JAHIは、超高齢社会における健康寿命延伸とヘルスケア産業育成の実現を目指す、ヘルスケアに関する有識者、産業、関係者が集まった民間唯一の団体です。

100年人生を支える健康づくり② 情けは人の為ならず

情けは人の為ならず。本来の意味は「人助けをすれば、巡り巡って自分に良いことがある」ということです。この考え方は健康づくりにとっても非常に役立つようです。日本ヘルスケア協会の今西信幸会長が、自身の健康観を語る連載です(全4回中の2回目)。

ボランティアは自分のためにやるもの

――前回は、「体・心・頭」に効く散歩のお話を伺いました。今回は主に「心」の健康についてお聞かせください。

今西:心にいいことは、家族や友人と仲良く暮らす、ペットに癒やされるなど、人によってさまざまです。なかでもボランティアは、心のケアとして非常によい行動だと思います。他人に無償で尽くすことが自分自身の心にプラスの作用を及ぼします。そのことを自ら示してくれたのが、「スーパーボランティア」と称される尾畠春夫さんではないでしょうか。

――山口県で迷子を救出したことで注目された方ですね。

今西:彼は見ていて本当に清々しいですね。自分で寝泊まりする場所と食事を確保して現地に赴き、対価を求めない。そして無理をしない。表彰されても、当たり前のことをやっているだけだと謙遜してブレない。これは、本当に自分のためにボランティアをやっていて、それで心から満足しているからこそ、このような姿勢として現れるのだと思います。他人を助けることが自分の心のケアになる、そのことを体現されている方です。

――尾畠さんは他人の評価を求めている感じが全くありませんね。

今西:「ボランティアで頑張った自分を認めてくれ」というのはどこか違いますね。人のためにとか、社会のためにとか、そういう気持ちでやるボランティアはどこか押し付けがましさがにじみ出てしまう。そうではなくて、ボランティアで得られるのは自分の心が豊かになること。社会の評価とシンクロしなくていいのです。そういう意味では「ボランティア=社会貢献」と捉えない方がいいかもしれないですね。

――ボランティアは、あくまで自分の心を豊かにするためのものなのですね。

今西:そうです。そもそも満足感や幸せは本人が決定することであって、他者との比較で決まるものではないですから。比較というのは、自分の頭で考えなくてすむから楽です。月収20万円の人と100万円の人を単純に比べると、100万の方が良く見えます。でも、必ずしも幸せとは限りません。自分が思うやり方でイキイキと仕事する20万と、多忙を極めて他人の言いなりになる100万なら、どちらがいいでしょうか? もちろん人によってこの答えは違っていいのですが、大事なのは「自分が欲した生き方か」ということです。

化粧は心のビタミン

――他人の評価ではなくて、自分自身がどれだけ納得しているかが、心の健康に大きく影響を及ぼすのですね。

今西:ボランティアのほかにも、心の健康によい行動として広く知っていただきたいのは、「心のビタミン」としての化粧の有用性です。実は高齢者が化粧をすることは、心のために非常に良いことなのです。一般的に、歳を取るに従い、以前はできていたことができなくなってきて、自信を失いやすくなってきます。しかし、化粧をすることで、若かった頃のアクティブな自分を思い出すことができ、自信を取り戻して、積極的に外出したり他者と関わったりするようになると言われています[1]。化粧によって元気や安心がもたらされるということですね。積極的に社会に関わり続けることは、生活の質(QOL;quality of life)につながっていきます。

――この歳になって化粧なんて…などと思わずに、思う存分お化粧を楽しんでいただきたいですね。

今西:そうです。化粧は後ろめたいものではありません。ストレスを軽減し、免疫機能を維持するのにも良いという報告[2]も出ています。私が化粧を「心のビタミン」と形容したのは、このような理由があるからなのです。お気に入りの化粧品でハツラツとした生活を送っていただければと思います。

情けは人の為ならず。本来の意味は「人助けをすれば、巡り巡って自分に良いことがある」ということです。この考え方は健康づくりにとっても非常に役立つようです。日本ヘルスケア協会の今西信幸会長が、自身の健康観を語る連載です(全4回中の2回目)。

――ありがとうございました。次回は「頭」の健康法についてお伺いします。

100年人生を支える健康づくり① 散歩で「体・心・頭」を活性化する
100年人生を支える健康づくり③ 頭の若さを保つ「本気の趣味」
100年人生を支える健康づくり④ 日本ヘルスケア協会の取り組み

<参考文献>
[1]久家慶子ほか. 高齢女性における化粧行動. 久留米大学心理学研究 2015; 14: 17-24
https://www.kurume-u.ac.jp/uploaded/attachment/2344.pdf
[2]堤谷めぐみほか. 化粧やネイルケアが高齢者のライフスタイルやQOLと免疫能の向上に及ぼす影響. コスメトロジー研究報告 2008; 16: 76-86
https://www.cosmetology.or.jp/research_report/archives/2008/fullVersion/Cosmetology%20Vol16%202008%20p75-86%20Machida_K.pdf

【聞き手・まとめ:田中留奈(伝わるメディカル)、企画・製作:株式会社リッチメディア】