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JAHIは、超高齢社会における健康寿命延伸とヘルスケア産業育成の実現を目指す、ヘルスケアに関する有識者、産業、関係者が集まった民間唯一の団体です。

万博を通じて健康寿命の延伸を実現【第3回日本ヘルスケア学会年次大会】

日本ヘルスケア産業協議会とともに一般社団法人日本ヘルスケア協会を構成する日本ヘルスケア学会では、1年に1回年次大会を実施しています。第3回年次大会は「健康寿命延伸社会の実現とヘルスケアの役割」というテーマを掲げ、2019年9月6~7日に東京(明治大学)で開催されました。ここでは、当大会で発表された講演の一部をレポートします(全4回)。

2025年の大阪・関西万博に全力で協力

大会長を務めた今西信幸先生(日本ヘルスケア学会会長)

開会式では今西信幸大会長が登壇し、まず日本ヘルスケア協会の新たなロゴマークを作成したことを報告しました。「ヘルスケア」と言っても、分かったようで分からない言葉なので、具体的にその意味を提示する意図で作成されました。それが下図です。

日本ヘルスケア協会の新たなロゴマーク

日本では長生きする人が増えて「平均寿命」は延びましたが、元気で自立し、寝たきりではないイキイキとした生活ができる期間である「健康寿命」との大きな差があります。具体的には、男性の平均寿命は80.21歳ですが、健康寿命は71.19歳しかなく、その差である約9年間は介護などが必要な状態で過ごしているということです。女性はもっとその期間が長く、約12年間と言われています。

この健康寿命を平均寿命に近づけること、それが「ヘルスケア」の役割である――。そのような想いを込めた新ロゴマークを掲げて、日本ヘルスケア協会は今後も活動を続けていきます。2020年には公益財団法人への変更も予定しています。

当協会の今後の展開として今西会長は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)がテーマとしてウェルネスやヘルスケアを打ち出していることを踏まえ、「国民のヘルスケア維持・増進をめざして創設した当協会としては、まさに組織の全力を挙げてこの一大事業に協力する時期が到来したと受け止めている」と意欲を示しました。

万博を「長くなったいのちが輝く」契機に

開会式の後には、経済産業省で大阪・関西万博を統括している岩田 泰氏が登壇して基調講演を行いました。大阪・関西万博は2025年5月3日~11月3日の開催が予定されています(会場は夢洲;大阪市臨海部)。

岩田 泰氏(経済産業省2025年国際博覧会統括調査官)

世界で初めての万博は1851年にロンドンで開催されました。産業革命後の圧倒的な工業力は多くの人々を驚かせ、大成功したそうです。その後の開催では工業製品などをメインとした展示から、徐々に来場者を楽しませる展示に変わってきました。

岩田氏は「これまでに約160年間続けてきた万博の本質は、一般大衆の教育を目的としたイベントだ」と言います。とはいえ、来場者は万博に勉強をしに来るわけではなく、遊びに来る人が大多数なので、いかに楽しませるかが問われます。万博のことを「エンターテインメントの皮を被った教育イベント」と表現する人もいるそうです。

日本はこれまでに万博を5回開催しています。なかでも1970年の大阪万博は「科学技術の力で世の中を変える、新しい未来が開ける」というメッセージを発信し、多くの人々に多大な影響をもたらしました。2005年の愛知万博のテーマは「自然の叡智」(自然と共存する人間の在り方)でした。万博のテーマには時々の問題意識が反映されています。

では、2025年の大阪・関西万博のテーマは何でしょうか? それは「いのち輝く未来社会のデザイン」(Designing Future Society for Our Lives)です。サブテーマには「多様で心身共に健康な生き方」「持続可能な社会・経済システム」が設定されています。

このテーマにある“Lives”は、さらに3つのLivesに分類されています。
○救う(Saving Lives)
○力を与える(Empowering Lives)
○つなぐ(Connecting Lives)

救う(Saving Lives)中の「ライフスタイル(食生活と運動)」
「健康寿命を延ばす」が日本ヘルスケア協会の目的と合致

万博を楽しみに訪れた人々に対し、普段の生活に内在された問題意識をくすぐるようなもの、新たな驚きを与えつつも生活に採り入れていけるものなどを提示することで、来場者が普段の生活に戻ったときに、それまでとは少し風景が違って見える――。万博がそんなきっかけになることを目指し、「この機会を活用してヘルスケアが進む契機になるように考えていただきたい」と岩田氏は協力を求め、講演を締めくくりました。

今後、日本ヘルスケア協会がどのように大阪・関西万博と関わっていくのか、楽しみですね!

【聞き手・まとめ:田中留奈(伝わるメディカル)、企画・製作:株式会社リッチメディア】